2024パリ・パラリンピックを目指す! 静寂の格闘技、ゴールボール!
野球部に所属する鳥居陽生君(文理コース3年生)。鳥居君は今年、パラリンピックゴールボールの育成選手の初期段階である、J-STARプロジェクトの五期生に認定されました。これにより、2024年にパリで行われるパラリンピックへの出場が期待されています。
ゴールボールとは、視覚障がいのある選手がプレーするパラリンピック特有の競技であり、鈴の入ったバスケットボールくらいの大きさのボールを互いに投げ合い得点を競う、1チーム3人で行うチームスポーツです。目隠しに「アイシェード」を装着し、全盲の状態にしてプレーをするもので、音を消した移動攻撃や味方の声を頼りにパス交換するなど、多彩な攻撃が見どころだと言います(パラサポWEB参照)。
さて、鳥居君がゴールボールでパラリンピック出場を目指すことになった、そもそもの、ことの始まりです。彼は高校1年生の冬、突然目の病気が発覚したのです。はじめは、目に入った砂かほこりが取れないのかと思って受診をしました。しかし、診断の結果は、目の病気。視野の中心が黒くなる中心暗転は両目に広がり、視力も徐々に落ちていきました。ついに、野球の球も上手く見ることができなくなり、野球部のメンバーとして部員と同じように練習に参加することが難しくなりました。幼稚園の頃から12年間続けてきた、彼の野球中心の生活は一変し、「何を糧に生活していけばいいのかわからない絶望感」に苛まれる日々が始まりました。視力はどんどん落ちていき、日常生活もこれまで通りとはいかなくなりました。もちろん学校生活も……。しかし、高校を卒業することは目標の一つであったため、できる努力を続けていました。例えば、定期テストなどは情報科の教員の協力を得てiPadを使用して受験しました。もちろん部活動も、野球部に所属しながらできることをやり続けました。とは言え、病気との闘いはこの先もずっと続くと考えたとき、言葉にはできない不安や絶望感を拭うことはできませんでした。
そんな彼を絶望の淵から救い出してくれたのが、ゴールボールだったのです。相模原市にある職業技術校の先生が、ゴールボール競技者の方と彼を引き合わせてくださったのです。もともと体を動かすことの好きな根っからのスポーツマンだった鳥居君はゴールボールとの出会いにより、新しい目標や希望を持つことができたのです。
彼曰く「これからは、支えてくださった方々からの励ましを胸に、パラリンピックという世界の舞台から、自分と同じように病で苦しんでいる方々に、元気や勇気を届けることが目標です」とのこと。現在も、野球で培った精神力や体力を活かし、日々のトレーニングに励んでいます。応援よろしくお願いいたします。
掲載日:2022年7月16日